2025年3月、米国株式市場は大きな転換点を迎えました。S&P500指数が2月19日につけた史上最高値から10%以上下落し、正式に調整局面入りを果たしました。この急激な下落はトランプ大統領の予測不能な貿易政策と、それに伴う国際的な緊張の高まりが主な要因となっています。この市場の変動にどう対応すべきか、投資家たちは慎重に見極めようとしています。
調整局面の意味と影響
S&P500指数は3月13日、5,521.52ポイントで取引を終え、2月19日の最高値6,144.15から10.1%の下落となりました。ウォール街では、直近の高値から10%以上の下落を「調整局面」と呼びます。この調整局面入りは、2023年10月以来、約1年4ヶ月ぶりのことです。
LPLファイナンシャルのチーフ・テクニカル・ストラテジストであるアダム・ターンクイスト氏によると、前回の調整局面からの回復には24日間かかりました。しかし、今回の下落は「痛みを伴う」ものとなっており、わずか3週間で記録的な高値から調整局面に突入したことが市場参加者の懸念を高めています。
貿易戦争の影響と市場の反応
今回の調整局面入りの主な要因は、トランプ大統領の貿易政策に対する不確実性です。特に、EUに対する新たな関税の示唆が市場に大きな影響を与えました。トランプ大統領は、EUのアメリカ産スピリッツに対する50%の関税に対抗して、EU産アルコール飲料に200%の関税を課す可能性を示唆しました。
ウェドブッシュ・セキュリティーズのダン・アイブス氏は「過去1ヶ月間、テクノロジー株と市場全体への残酷な売り圧力になっている」とコメントしています。
投資家心理と今後の展望
市場のボラティリティを示すVIX指数(恐怖指数)は12月以来の高水準に達し、CNNのフィア・アンド・グリード指数も2月末以降、「極度の恐怖」を示しています。これは、投資家の間に広がる不安感を如実に表しています。
グローバルト・インベストメンツのトーマス・マーティン氏は「消費者信頼指数が悪化し、インフレ圧力が強まり、10年国債利回りが上昇しています。多くの人々が、このトレンドの拡大や継続性があるかどうかを注視しています」と述べています。
投資家の目は来週に予定されている連邦準備制度理事会(FRB)の政策会合に向けられています。CMEのフェドウォッチツールによると、金利据え置きの可能性は97%と予想されています。
慎重な姿勢が求められる市場環境
S&P500の調整局面入りは市場が新たな局面に入ったことを示しています。貿易戦争の影響や経済成長への懸念が続く中、投資家は慎重な姿勢を保ちつつ、政策動向や経済指標を注視する必要があります。今後の市場の方向性は、トランプ政権の貿易政策とFRBの金融政策に大きく左右されそうです。
参照:
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