トランプ関税が日本車に直撃?生産調整の可能性も

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2025年4月2日にトランプ大統領が提案する25%の自動車輸入関税が発動される可能性が高まっています。この動きに日本の自動車メーカーが警鐘を鳴らし、業界全体に大きな影響を与える可能性があります。日本自動車工業会(JAMA)の片山会長は、関税が実施された場合、「大幅な生産調整が予想される」と述べ、業界の危機感を表明しました。この状況は、日本の自動車産業だけでなく、米国の消費者にも影響を及ぼす可能性があり、注目が集まっています。

日本メーカーへの影響と対応策

日本の自動車メーカーは、関税の脅威に対して緊急の対応を迫られています。トヨタ、ホンダ、日産などの大手メーカーは、JAMAの理事会で「緊急議題」としてこの問題を取り上げ、対策を協議しています。

片山会長は、「短期的なショックをどう吸収するか、具体的にどのような対策を取るべきか、そして日本全体としてどう対応するかを検討する」と述べています。また、日本政府に対しても、米国との交渉を継続し、関税適用の除外を求める働きかけを続けるように要請しています。

日本の自動車メーカーは、1982年のホンダによる米国での工場設立以来、約610億ドルを米国の生産施設に投資してきました。しかし、長年の投資にもかかわらず、今回の関税措置は日本メーカーに大きな打撃を与える可能性があります。

各メーカーの状況と影響

関税の影響は、メーカーによって異なります。ホンダは米国での現地生産比率が高く、2024年の米国販売140万台のうち、日本からの輸入はわずか5,379台でした。トヨタの米国販売台数は233万2623台でそのうち日本からの輸入は約53万台です。これは全体の約23%を占めています。

一方、スバルやマツダは輸入車の割合が高く、大きな打撃を受ける可能性があります。スバルは2024年に約32万8,000台を日本から輸入しており、これは米国での販売台数の約半数を占めています。マツダも同様に、米国販売の約55%を日本からの輸入に頼っています。

さらに厳しいのは三菱自動車で、米国内に生産拠点を持たないため、全ての販売車両を輸入に頼っており、最も深刻な影響を受けると予想されています。

業界全体への影響と今後の展望

関税の導入は、日本の自動車産業全体に大きな影響を与える可能性があります。日本の対米輸出の約30%を自動車が占めており、25%の関税は日本の経済成長率を0.2ポイント押し下げる可能性があるとの試算もあります。

また、この問題は単に日本メーカーだけの問題ではありません。カナダやメキシコで生産される日本車も同様の関税の対象となる可能性があり、北米自由貿易協定(NAFTA)の枠組みにも影響を与える可能性があります。

日本の自動車メーカーは、この危機に対応するため、生産調整や米国内での生産拡大など、様々な対策を検討しています。ホンダはすでに次世代シビックハイブリッドの生産をメキシコから米国インディアナ州に移すことを決定しました。

この状況は、日本の自動車産業だけでなく、米国の消費者にも影響を及ぼす可能性があります。車両価格の上昇や選択肢の減少など、消費者にとっても不利益が生じる可能性があります。

日本の自動車メーカーと政府は、引き続き米国との交渉を続け、関税の適用除外を求めていく方針です。しかし、現時点では具体的な進展は見られておらず、業界全体が不安な状況に置かれています。

参照:
Popular car brands sound the alarm on the impact of US tariffs
Trump tariffs to hit Japan’s domestic auto output: industry head
Japanese Automakers Could Cut Production if U.S. Tariffs on Imported Cars Take Effect in April
Japan auto lobby says US tariffs may lead to production adjustments among firms
Japan automakers on brink of extended slump as Trump tariffs loom
Japanese automakers warn of US tariff impact